★2025年3月7日に本記事にある見直し方針は、一旦見送りとなりました。ただし、秋までに改めて方針を検討し、決定するということです。そのため記事はそのまま残しておきます。
皆さんもニュースでご覧になっているかもしれませんが、
厚労省は、今年8月から自己負担上限の引き上げを決め、来年以降は2026年と2027年の2段階で上限額を引き上げていく、としました。
これにはがん患者の団体から「治療をあきらめないといけなくなる人がでてしまう」と抗議の声が集まっているそうです。
さて、そもそも高額療養費制度とはどのようなもので何がどう変わるのか簡単にまとめております。
高額療養費制度とは
医療機関等の窓口で支払った額がひと月の上限額を超えた場合に、その超えた部分が支給される制度。
このひと月の上限額というのが、下記表の自己負担限度額のことです。(全国健康保険協会HPより抜粋)
今回は70歳未満の人で「区分ウ」の人だったとして見ていきましょう。実際多くの方が「区分ウ」の印象です。

仮に総医療費(3割負担になる前の額)が100万円だったとします。
この場合窓口で健康保険証を出して30万円を支払いますよね。ですが高額療養費制度を使うと、
80,100円+(1,000,000円ー267,000円)×1%
=87,430円★これが自己負担額上限になります。(これを超えた額である212,570円が戻ってくる)
制度の見直し内容
これがまず2025年8月から下記表の様に少し引き上げられます。(厚生労働省第192回社会保障審議会医療保険部会資料2より抜粋)

上述と同じ例であれば
88,200円+(1,000,000円ー294,000円)×1%
=95,260円 8,000円程度の負担増ですね。
そして2026年2027年と段階的に下記の表まで見直しがされます。(厚生労働省第192回社会保障審議会医療保険部会資料2より抜粋)

ちょっと細かくなって見づらいですが、要するに所得区分が細分化されているんですよね。
ですから例えば500万円の年収ならば2025年8月見直しの表の計算と同じ95,260円なのですが、700万円だと、
138,600円+(1,000,000円ー462,000円)×1%
=143,980円
年収の多い人ですと現行と比べて56,000円程度の負担増ですから大きな引き上げと感じますよね。
※一方、治療が長期化する方が利用している、多数回該当の仕組み(直近12か月の間で3回以上高額療養費制度の対象となった場合に、4回目からは上限額を引き下げるもの)は据え置きになりそうです。
今後の公的医療保険制度について
「高額療養費制度」の見直しの背景には、高齢化に加え、先進的な治療や高額な薬の利用によって支給額が増え、財政が悪化していることがあります。そして現役世代の人たちの支払う保険料が増え続けてしまっています。現役世代の保険料の負担をなんとか軽減する為に今後も見直しの議論がされていくと思われます。
高額療養費制度だけではなく、OTC類似薬の保険適用除外、今後は3割負担も見直しされる可能性もあるのではと考えます。
制度でまかなえない部分は自助努力で!
高額療養費制度の自己負担額引き上げで負担が増える方もいらっしゃると思います。
それに引き上げがなかったとしても、負担額上限が約8万円だったとして、それでもかなり大きな負担ではないでしょうか?毎月8万円が消える事を想像したことがありますか?
貯金や投資している人はしばらくできないかもしれません。外食も控えるでしょう。旅行にもいけなくなるかもしれない。
これらはまだ余裕資金ですからなんとか我慢ができたとしても、8万円が生活費や教育費だった場合、そこが消えてしまうと大きな打撃ですよね。
これから日本で生きていく私たちは、自助努力を本気で考えないといけないかもしれませんね。

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